2022年10月12日

「未来洞察」開催レポート

レポート

5つのチームは、これまで「パーパス(社会的存在意義)」を起点としたそれぞれの会社のストーリーを掲げるため、重要な「ステークホルダー」や「マテリアリティ(重要課題)」を整理し、自社のあり方を探索してきました。

4回目となる9月23日(土)には、不確実な未来において新たな事業の可能性を見出し、実現する「未来洞察」をオンラインにて行いました。

「知の探索」と「知の深化」のバランスをとる「両利きの経営」

最初に、イノベーションを説明する際に重要視される理論、「両利きの経営」について講義を行いました。

両利きの経営とは、「知の探索」と「知の深化」をバランスよく高いレベルで行う経営のことです。「知の探索」では、自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げ、「知の深化」では、自社の持つ資源をブラッシュアップしていきます。企業にとって「知の深化」は比較的なじみあるものですが、これに偏るとイノベーションが枯渇してしまいます。そのため、慣れ親しんだルーティンから離れ、未知の方向に興味・関心を働かせ、社会・文化・経済がどう変わっていくのか、どんな行動・習慣・価値観が世の中にとってインパクトがあるのかを、「未来洞察」の手法を用い描いていきます。

10年後を「未来洞察」し、必要なスキルとその背景を考察する

「イノベーションとは何か?」と考えると、アイデアを生み出しマーケットに投入して世の中がどのように変化していくかを考えがちですが、「未来洞察」では呼び起こしたい未来の行動・習慣・価値観を元にそのプロセスを描きます。

「未来予測」は現在の延長線上の未来を考えるインサイド・アウトの発想ですが、「未来洞察」は延長線上ではなく不確定要素に着目しながらアウトサイド・インの発想をします。知らないことすら気づいていないような外部の事実から内部を見つめ直すのです。

前回の宿題で、自分達が考えたこともなかった未来のあり方を考えるため用意したスキャニングマテリアルをヒントにしながら10年後の社会・経済を想像し、そこでどんな能力やスキルが必要となるのかを根拠とともに考えてきた各チーム。今回のグループワークでは、個人で考えてきた宿題をチーム内で整理し、クラスタリング(類似したものをグループ分け)していきます。

10年後には更に分断や二極化が激化し、情報の海の中で泳ぐスキルや多様な人・生き物と育むコミュニケーション能力が更に問われるのではないか?などと議論は白熱していきます。

「10年後に必要な能力・スキル」から、その背景となる「未来の社会・経済・文化環境」を洞察する

次のステップでは、グループワークで考えた10年後に必要な能力・スキルが求められる社会・経済・文化の潮流を考えていきます。

例えば、サイバーセキュリティに関する高いレベルのリテラシーが必要である背景としては、東西分断やデジタル新冷戦によるものが大きいなど、背景となる社会・経済・文化をより具体的に明らかにします。

企業や組織より個人が尊重されることで属する社会が国や地域を超えるのではないか、また、所属先がなくなることで一部の人は居場所がなくなるのではないかといった個人のあり方の変化、エリート層のライフスタイルや価値観が変わるというエリーティズムのあり方や学びのあり方など議論は多岐に広がりました。

自社のパーパスの再検討

最後のグループワークでは、未来洞察を使った10年後の社会・経済・文化環境からの社会の探索を踏まえて、パーパスを見直します。

「住む」「働く」「所属する」がバラバラになる時にどんなライフスタイルや価値観が生まれるのか?その時に「所属する」ための都市の意味や価値が高まってくるのではないか?という社会の探索をもとにパーパスの再設定に取り組みます。

事業や組織の問題と日々向き合っている企業にとって、企業課題から距離をとり、社会を探索するのは容易ではなかったようですが、「社会変革を捉える必要性を改めて感じた」「自社を違った視点から見つめ直すきっかけとなった」などの思考プロセスの変化を感じる意見を頂きました。

次回は「10年後の自社にとって欠かせないものごと(生物・物質・概念など)は何か?」という宿題を元に、「ビジネスエコロジーの探索」に合宿形式で取り組みます。今後の展開をお楽しみに!

 

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