2022年8月29日

「キックオフワークショップ」開催レポート

レポート

8月20日、プロジェクト・エングローブ第2期「キックオフワークショップ」をデザイン・クリエイティブセンター神戸(愛称:KIITO/キイト)にて開催しました。今年度は6社の神戸市内企業と12ユニットのクリエイティブ・パートナーの皆様にご参加頂きます。

神戸市経済観光局経済政策課の担当係長・長井氏にご挨拶いただいたあとは、1&2回目のプログラム会場となるKIITOの施設を見学しました。明治時代の面影が残る近代建築が並ぶ神戸の湾岸エリア内に建つKIITOは、4階建て、新館・旧館合わせて140,000平方メートルという広大な旧・生糸検査所を保存活用・リノベーションしたものです。低迷している産業をデザインの力で活性化するために2012年にスタートし、「+クリエイティブによっていろいろな社会課題をデザインする」というコンセプトが掲げられています。

圧倒的な存在感と創造性溢れる館内を見学したあとは、神戸市内企業、クリエイティブ・パートナーそれぞれが自己紹介をして互いの理解を深めます。

その後、プロジェクト・エングローブ企画・運営を担う株式会社リ・パブリック共同代表の田村より、「ESGとは何か」「ESGとビジネスはどう関わっていくのか」について講義が始まりました。

 

競争から共創へ

ESGとは環境(E)、社会(S)、企業統治(G)を合わせた概念で、地球・社会の持続性を高めながら事業を成長させる指針とされています。

過去を振り返ると、20世紀は企業間の「競争」がマーケットを通じて社会を豊かにすると信じられていた時代。とりわけ企業の事業創造のゴールは、プロダクトやサービスを世に出すことだと考えられてきました。けれども、21世紀になると貧富問題や気候変動など格差と分断という複雑な問題が顕在化し、株主資本主義からマルチ・ステークホルダー主義という、関わる全ての人たちとってより良いビジネスを作っていこう(米・Business Roundtable声明)という「共創」の流れが始まったと田村は言います。

 

パーパス(社会的存在意義)を意識した事業構想

この流れの中で、自社が未来に向けて「こうありたい」という目指す姿や方向性でなく、社会にどんなよいインパクトをもたらすことができるか、どんな社会・世界を作りたいのかという「パーパス」(社会的存在意義)が大切にされ始めました。自社だけではできないことでも、多様な分野で関わってきた人たちとの関係性を結び直すことで新たな生態系を作り、取り組んでいこうという考え方です。

 

「ありたい未来」を実現するため、神戸をどう変えていくか?

地球や社会のサステナビリティと共に企業が中長期にわたって存続することを考えれば、自社プロダクトやサービスでイノベーションを起こすことがゴールではなくなります。

共感=たくさん売れる、それだけでは大量生産・大量廃棄とつながってしまいます。マーケットメカニズムに委ねるだけでなく、まちを仕組みとしてどう変えていくか、またその中でファンやコミュニティをどう作っていくかが求められます。

自社プロダクトやサービスが、どんな社会システム・都市や地域の中でどう機能していくのか?まで考え、神戸というまち自体やまちの生き方をどう変えていくのか?をゴールに考えていくことが必要となるのです。

 

プロジェクト・エングローブはデザインプロセスの最前線だと話す田村。昨年度・第1期生が今も進めている事業構想はまさに「プロダクトやサービスを超えたもの」となっているため、自分達が実際何がどこまでできるのかを実感していただけるはずと、今後のプログラムへの熱い想いを語りました。

 

次回、2回目のプログラムでは、参加企業を訪問し、理解を深めた上で、各社Corporate Innovation Mapを使ったアセットの棚卸しをします。こちらもぜひお楽しみに!

 

写真撮影: Life Journey株式会社

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