2022年3月11日
オープンゼミサステナブル経営基礎 ブランディング広報編 開催レポート
レポート
2月16日、オープンゼミ基礎編4回目の講座は、中小企業診断士チーム「いろどりのやま」の免範親さんが講師を務められました。免さんは広告会社の営業担当役員として活動し、試行錯誤を繰り返しながら、ブランディングについて考え続けてきた方です。今回の講座では、サステナブル経営の観点から考えるブランディングについてわかりやすく話してくださいました。セミナーの後半は、パタゴニアの日本支社の戦略策定に外部ファシリテーターとして10年間携わっていた廣水乃生さんを迎え、さらに突っ込んだ議論へ。廣水さんはご自身の経験を踏まえて、目指す社会の実現のために歩んだ軌跡が、自ずとブランディングに繋がるというお話をしてくださいました。
◎ブランディングとは、「なぜ」を繰り返し、ありたい姿に近づいていくプロセス
巷に物が溢れ、人の心を満たす共感を呼ぶことが求められる今日、どの企業も、競合商品にはない独自の価値(役割)の提供を考慮する必要に迫られています。こうした中でブランディングをどう考えるべきかについて、免さんは「ありたい姿の実現に向かって成長していくこと」と説明されました。そのプロセスでは、「なぜこれをしたいのか?」「なぜこれを自社がするのか?」を問い続け、明確化していく必要があります。そして迷ったら戻って再び議論することによって、自分達のサービスや存在意義が定まってくるのだといいます。
このように内省に向かう一方で、ありたい姿の実現には仲間が必要となるため、自社で掴んだ存在意義を外に向けて発信していくプロセスも大事になってきます。それは言い換えると「マーケティング」で、顧客のみならずサプライヤーや株主など、多様なステークホルダーを巻き込み、共に目指す未来に向かうために必要な両輪の一つなのだということを解説してくださいました。
◎今求められるのは、総合的で全体最適な思考と実践
セミナー後半でゲスト参加してくださった廣水さんは、まず、現代社会が陥っている状況を端的に説明。「課題解決」や「需要と供給」といった観点で部分最適を進めてきた結果として、持続不可能な社会になっていると言います。今、サステナブルな社会を本気で実現しようとしたら、一つの課題を解決して終わりではない。それがどういう問題を作り出していくのかをしっかりと見極める必要があるとお話しされました。SDGsの目標ともまさに重なりますが、立ち行かなくなった社会・経済・自然の建て直しは、どれかひとつの解決を目指すのではなく、総合的に取り組む必要があるということなのです。
◎存在意義そのものがブランディングにつながる
廣水さんのお話の中で特に印象に残ったのは、「自分自身が本当にどうにかしたいことを突き詰めていったときに、自分には一体何ができるのだろうか?という質問が跳ね返ってくる。そのときに自分ががむしゃらにやりながら切り開いていく存在意義そのものがブランディングにつながる」というところでした。本気でサステナブルな社会の実現を目指している廣水さんは、ご自身のビジョン実現のために仲間が必要なので協力してくださいと周囲にいうと、そのうちに仲間ができて、やりたいことの実現に少しずつ近づいていくのだそうです。自ら営業をしなくても、廣水さんに必要な人、あるいは廣水さんを必要としている人が集まってくる。つまり、自身が実現したい姿と自身ができることを突き詰めていく中で、自ずとブランディングがなされているのです。
自分あるいは自社が存在することで社会がどのようにポジティブに変化していくのか?その問いに対して核心をつく答えが出るまで問い続け、書き換え可能な柔軟性を持ちながらも社会に問い、共感して共に歩んでくれる仲間を見つけていく。「言うは易し」かもしれませんが、今日のオープンゼミのお話を起点に、真に持続可能な社会の実現に向けて踏み出す企業が増えることを願っています。