2022年2月1日

フロンティアラボ 「東京発表会」開催レポート

レポート

1月16日、東京都大手町の3×3Labにて、プロジェクト・エングローブの東京発表会を行いました(オンライン同時配信)。今回は、投資に携わる方や大企業でサステナビリティ案件に携わる方なども招き、チームのアイディアを公に披露する初の機会となりました。この発表会に向けて、各チームの描くビジョンと、その実現に向けたアイディアを記したレポート・ブックも制作しました。ぜひご覧ください。

プロジェクト・エングローブ_レポートブック(jp)
project englobe_report book(en)

◎熱のこもったプレゼンテーション

神戸発表会から1か月の間に、課題をより具体化したチーム、アイディアをブラッシュアップしたチーム、メンターのコメントを見事に昇華させたチーム。それぞれの努力の軌跡が見えるようなプレゼンでした。

ジョイコーノチームのプレゼンの様子

トップバッターのジョイコーノチームは、老いから生じる病にどう向き合うのか?病気の宣告を受けてからも、どうしたら豊かに生きられるのか?こうした重い課題にアートを導入することでオルタナディブな解決法を提示するプランを以前から掲げていましたが、今回は、彼らがここで導入する「アート」がどのようなものなのかを、より伝わりやすい形で説明しました。ここでいうアートは、いわゆる芸術家の自己表現としてのアートではなく、社会と関わる「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」。それを切り口に、アーティストと患者、医師、その他多様な人々の関わり合いを通じて理解を深め、共創する仕組みを提案しました。パーキンソン病の方や医師へのインタビューに基づくドキュメンタリー風の動画も相まって、共感の輪がこの日のプレゼン後にも広がっていました。

アルタレーナチームのプレゼンの様子

アルタレーナチームは神戸発表会のフィードバックを糧にアイディアを固めてきました。その名も「神戸コーヒー循環特区」。コーヒー輸入の主要玄関口である神戸で、コーヒーかすを大規模に集めて域内燃焼プラントで炭化し、CO2削減を試みるというアイディアです。プロジェクト開始時からこだわり続けていた個人の嗜好と世界規模の環境問題。その二つを接続したいという熱意がこのような循環モデルに着地したことに、メンターの内田さんも感慨深い様子のコメントを出されていました。

旭光電機チームのプレゼンの様子

旭光電機チームは以前からアイディアの軸は定まっていましたが、それをさらに具体化させるとともに、サービスとしてスケールするプランも発表しました。個人→家庭→企業→地域などさまざまな単位で二酸化炭素削減の可視化システムを導入する壮大な計画を示しました。環境に良いことをすることで溜まったポイントは、さらにまた環境をよくする取り組みに使えるという正の循環モデル。センサーの高い技術をもつ旭光電機はすぐにでも着手できそうな領域もあり、今後どのように多様なステークホルダーに関わってもらうのか、その仕組みづくりに焦点が当たってきそうです。

日本テクノロジーソリューションチームのプレゼンの様子

日本テクノロジーソリューションチームは、ワクワクした人の熱量が地球全体をポジティブに変えるというコアはそのままに、「挑人ヴィレッジ」の組成計画と具体的な内容について深めてきました。神戸の地の利を生かした持続可能なテーマということで、まずは「日本酒ヴィレッジ構想」を発表。日本酒作りに関わる様々なプロセスの中で、たとえば自然農を深めたい人が出てきたり、米糠からコスメを作りたい人が出てきたり…。一つの切り口を深めることで広がりも生まれていくといいます。ワクワクした人たちが集まることで、その熱量がさらなる磁場を生む可能性を予感させるプレゼンでした。

マルヤ靴店チームのプレゼンの様子

マルヤ靴店チームは、神戸発表会の時にすでに靴の循環モデルを描いていましたが、この一ヶ月でサステナブルな素材メーカーやファブラボへのヒアリングを進め、今のマルヤ靴店の技術と関係性でどこまでできるのか、何が課題なのかを具体的に共有しました。展示にて試作品も並べるなど、着実な一歩を踏み出していました。

どのチームも自社で今までやってきたことに捉われすぎず、これからの社会にとって必要となることを想像しながらビジョンを描き、その実現を可能にするエコシステムの提案をおこなったことが印象的でした。

◎個人とグローバルイシューをつなぐしくみ

メンターの内田さんが言われたように「地球のことってミッションが大きくて個人個人だと無力感に苛まれ」がちです。しかし今回の提案の多くは、大きな課題に対して一人ひとりの行動や努力が可視化されたり、無理なく接続したりするもので、これからの時代にとって有益なものとなったと思います。ゲストの方からも「自分達が我慢してサステナブルを実現するのではなく、それをやることが心地よくて楽しみ。私たちが本来持っている欲求を尊重しながら、むしろ増長することで、サステナブル、クリエイティブな社会を実現する。その姿勢がすべてのチームに共通していた」というコメントをいただきました。

◎共に走り出す仲間たち

今回は行政主催のプロジェクトであるため、行政から声がけできるステークホルダーにアクセスしやすいこともプラスに働きました。神戸発表会後に、神戸市の紹介で行政関連の機関に話を聞いたチームも複数ありました。さらに、クリエイティブパートナーの幅広い人脈を生かし、神戸市内の一企業ではアクセスできないような人へインタビューできたチームもありました。メンターの緒方さんも「仲間を募っていきながら事業を進めるのが大事になってくる時代。さっきから神戸モデルというのがたくさんでてくる。可能性がいろいろある」と言われました。この機会を通じて出会った人たちとのつながりを大切に、今後もアイディア実現に向けて切磋琢磨し、神戸から、たくさんの地球にいいビジネスを生み出していけたらと思います。

写真撮影:小野奈那子

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