2021年12月16日

オープンゼミサステナブル経営基礎 人材活用編 開催レポート

レポート

12月8日、オープンゼミ基礎編3回目の講座は、中小企業診断士チーム「いろどりのやま」の山本利映さんが講師を務められました。山本さんは妊娠中に、満員電車で通勤し続ける辛さを感じたのに加え、電車内で席を譲れないほどに疲れている人々を目の当たりにしたことをきっかけに、働き方に関心を持つようになったそうです。今回の講座では、ダイバーシティ経営について、またSDGsのゴールのひとつに謳われている「働き方がいも経済成長も」は可能なのか?という観点から、多くの事例を出しつつ説明されました。

◎働きやすい職場とは

昭和の時代には、就職から定年まで仕事一筋で企業に身を捧げる人が多かったことでしょう。しかし今日では、自身のライフステージにあわせて働き方を変えたいと考えている人が多いそうです。昔は女性に任せっきりだった育児や家事も、女性の社会進出の強化に伴い、男性も積極的に参画することが求められています。こうした状況の変化に伴い、企業マネジメントにはより柔軟な態度が必要になってきています。
たとえば、急な仕事が舞い込み、社員の誰かに残業してもらわないといけない時、誰にやってもらうのがよいのか?育児中の女性や親の介護に従事する男性には急な残業は頼みづらく、独身20代男性に声をかけることはよくあるケースかと思います。しかし、もしかしたらその20代男性も大切な予定があるかもしれないし、個人の成長につながる研鑽の時間をもっと持ちたいかもしれない。これは一つのケースですが、いつでも各社員の望む働き方と状況をしっかりと会社側が把握して、マネジメントをすることが重要と山本さんはいいます。このようなコミュニケーションが日常的に取れていることが、働きやすい職場環境につながるのです。

◎「働きやすさ」だけでなく、「働きがい」も

そして、このような話しやすい関係性や職場の雰囲気から担保される心理的安全性は大前提として、その後にフォーカスすべきは「働きがい」です。「働きがい」とは、自分が会社の役に立てている、能力が発揮できているという動機に関わる部分。たとえば多様な人を活かしたダイバーシティ経営をしたいからといって、障がい者や女性、高齢者等、一般的に「弱者」といわれる人たちを守るべき存在と解釈してしまうと、彼らの働きがいは一気に低下してしまうのだそうです。ダイバーシティ経営ではむしろ、一人一人が自分の能力を発揮でき、仕事の価値を認められるような環境づくりが大切になってきます。山本さんいわく、働きがいは福利厚生ではなくて経営戦略。多様な能力を組織に生かすことで、個人&組織の成長につながるのです。

◎昭和の働き方から令和の働き方へ

先行きの予測が難しくなっている今日は、VUCA時代とも言われます(Volatility変動性・Uncertainty不確実性・Complexity複雑性・Ambiguity曖昧性)。働き手の価値観はますます多様化し、仕事に求めるものも昭和の時代から変わってきています。仕事はお金を稼ぐ手段とか、自分のスキルをあげるだけのものではありません。仕事を通じて社会貢献できることを求める人も多くなってきています。今は仕事と人生を分けて考えない時代。企業にとっても働き手にとっても、人材が活用できていると互いに思えるwin winの関係を築き、働きながら豊かな人生をより多くの人が送れる未来について考えさせられるお話でした。

◎次回のオープンゼミのご案内

次回のオープンゼミは1月12日(水)19:00-20:30。奈良県奈良市に拠点を置く運送会社「株式会社ハンナ」さん。労働環境がハードな運送業界において、40年前の創立時から社員の健康を優先した「健康経営」を行なってきました。今回のテーマでもあった「人材活用」のこれまでの実践について、代表の下村社長にご講演いただきます。

2022/1/12(水)19:00-株式会社ハンナ「社員革命による成長戦略-人材から人財へ-」

今回のレクチャーの様子はこちらのYouTubeからもご覧いただけます。

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