2021年7月1日
「『進化思考』でつくる、変化の時代を生き残る事業」-キックオフ講演会を開催しました。
レポート
『進化思考』でつくる、変化の時代を生き残る事業
2021年7月1日、アンカー神戸にて、NOSIGNER/進化思考家の太刀川英輔さんとコミュニティデザイナーの山崎亮さんをお招きし、「『進化思考』でつくる、変化の時代を生き残る事業」というテーマでトークセッションを実施しました。太刀川さんは、4月に上梓された「進化思考」をベースに、自然界とのアナロジーを通じて、今ビジネスが目を向けるべき方向性と創造性の探究の方法について語りました。
生態系に倣うことで、多くの人が優れたアイディアを出せるルールを見出したという太刀川さん。一見クレイジーとも思える発想を生み出す「変異」と、適切に選び取る「適応」のサイクルを繰り返すことが創造性の法則で、これに則れば誰もが創造的になれるというのが太刀川さんの主張です。
私たちが生きる今は、生態系の絶滅のスピードがすさまじく、地球の歴史の中でも指折りの生存の危機に瀕する時代。これまで人間だけを幸せにするためにビジネスを営んできた私たちは、今、地球の持続可能性に従点を置いて生態系みんながハッピーになるように根本的に考え方を改める必要があり、創造性を発揮していくべきだと言います。
太刀川さんの言葉を借りれば、「持続可能性というのは、今や誰もが考えなくてはならない問題。世界の誰かの話ではなく私たちの話であり、その産業を続けられるか?という喫緊の課題」です。でも「私たちはこれまで取りこぼしているものがたくさんある。生態系自体はものいわぬ消費者。その生態系を満足させる手段はこれまでやってこなかった。ここにチャンスはあるし、人類の存続にも関わってくる。そのためには越境的にいろんな領域をつないでいくのは大事なこと」だと話されました。
この話を山崎さんが巧みに整理しながら進めた第二部。山崎さんは、太刀川さんのいう「生態系」は、生物界・自然界の一般的な生態系の話と、同業他社や販路流通など、いわゆる経済的な生態系の二つがあるように見えるが、実はこれが繋がっていることを鮮やかに指摘。これを受けて太刀川さんも、「例えばバリューチェーンの中だけが自分たちの価値の及ぶ範囲と考えると取りこぼしてしまう人や物、領域があるけれど、生態系で考えるとうまくいくのでは?たとえば生態系の観点で見ると河川とかが単位になるかも」と論を展開しました。人間の都合でこれまで分けてきた範囲や境界を一旦はずしてみると、おもしろいビジネスチャンスが現れてくる。チャンスはいつもエッジにあるという議論が交わされました。
最後には司会のリ・パブリック田村を交えて総まとめ。自分が何の文脈を背負って立っているのか、そしてどんな歴史を自分が作ろうとしているのかに自覚的になったほうがよく、世界を生態系と捉えて、そのなかで自分の役割を考えていくべき。そうすることで自分しかできないことができていくのだという話になりました。
このような意識で新しい領域を探索する「プロジェクト・エングローブ」がいよいよ動き出します。皆さん、ぜひご参加ください。
写真撮影: Life Journey Inc.