2021年度の活動
2021年度の「プロジェクト・エングローブ」では、2つのプログラムが並走しました。
1つは、ESG分野を意識したビジネス展開を構想する「フロンティアラボ」。もう1つは、サステナブル経営について思考を深める「オープンゼミ」です。どちらも、国内外で活躍する実践者の英知や経験のシェアを通じて、新たな視点の発見や、創造的なビジネスアイデアにつながるように構成されました。
フロンティアラボ
市内中小企業が
クリエイティブなパートナーと、ESG分野を
意識した事業創造に取り組む実践型プログラム
「フロンティアラボ」は、神戸市内の中小企業が国内外のクリエイティブなパートナーとチームを組んで、ESG分野を意識したビジネス展開を構想するプログラムです。ESG分野の第一線で活躍するメンターと熟練のファシリテーターの伴走のもとで、およそ半年にわたって事業領域探索に取り組みました。今年度は、5つの神戸市内企業と、17人のパートナーにご参加いただきました。各回のレポートはこちらからご覧いただけます。
5チームのアウトプット
株式会社アルタレーナ
循環型フェアトレードを目指すスペシャルティコーヒーショップ
Issue
気温上昇により、コーヒー豆の生産が今まで通り続けられなくなる。
Idea
行政と連携しながら、神戸市内をコーヒー循環特区とし、コーヒーかすの収集・再利用のモデルを構築。それを通じた気温上昇の抑制。
TEAM MEMBERS
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CEO
Coffee Experience Officer八木俊匡
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プロダクトデザイン
永嶋拓仁
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ヘルスケア、アート
日下慶子
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まちづくり、
インナーブランディング西出裕貴
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デザイン
江藤元彦
旭光電機株式会社
産業用センサ及びコントローラーの開発・設計・製造を手がけるリーディングカンパニー
Issue
自分の行動が地球環境にどう影響しているのかが把握できず、自分ごととして取り組めない。
Idea
個人の日常行動を測定するセンサを活用することで、自分の行動のインパクトが視覚的に把握でき、ポイントで還元されるアプリケーションを開発。
TEAM MEMBERS
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代表取締役専務
和田貴志
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アート
入澤日彩子
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不動産開発
稲葉竜博
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デザイン、インタープリター
和田夏実
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視覚言語、謎解き
菊永ふみ
有限会社ジョイコーノ
アパレルの企画・開発・販売、総合衣料の EC サイトを運営
Issue
誰しもに訪れる老いや病との向き合いかた。
Idea
社会的弱者を救う福祉のありかたではなく、多様な人々がアートを介して混ざり合い、互いを理解しながら生をポジティブに捉え直すことができる場の創造。
TEAM MEMBERS
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専務取締役
河野由季
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常務取締役、
アートアニメーション、デザイン河野亜季
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アパレル副資材生産
中江隆史
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デザイン
コウ・シェンジュ
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営業
上田哲也
日本テクノロジーソリューション
株式会社
フィルム収縮の技術を主軸に、パッケージメディア事業を展開
Issue
新たなチャレンジに踏み出せないまま、フラストレーションを抱えている人たちが多くいること。
Idea
志を同じくする仲間と共に、プロジェクトベースで手を動かしながら事業を作っていけるプラットフォーム構築。
TEAM MEMBERS
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代表取締役
岡田耕治
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マーケティング &
セールス統括部・リーダー宮﨑愛
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デザイン、アート
尾形朋美
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マーケティングリサーチ
原山百合香
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農、IT、スタートアップ支援
宮本暢常
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ファイナンス、インキュベーション
田山貴教
有限会社マルヤ靴店
神戸元町で 100 年続く神戸で最古の靴専門店
Issue
靴は様々な素材で構成されるために、リサイクルが難しく、ほとんどが廃棄されていること。
Idea
商店街の靴屋が中心になって、履いた靴を回収してリサイクルする仕組みづくりと、パーツが簡単に交換できるサステナブルな靴の開発。
TEAM MEMBERS
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代表取締役
片山喜市郎
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アートディレクション
福田まや
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ブランディング、PR
粟田あや
2021年度のプロジェクトの概要をまとめました
オープンゼミ
未来を見据える実践者と経営診断のプロとともに、
これからのサステナブル経営を学ぶセミナーシリーズ
オープンゼミは基礎編と実践編で構成され、前者では中小企業診断士によるセミナー、後者は身近で活躍する企業の実践者による講演ならびにディスカッションを行いました。また、実践編の日程にあわせて、中小企業診断士チームによる個別経営相談会も開催しました。
サステナブル経営 基礎編
サステナブル経営とは、
未来よし、社会よし、地球よし
オープンゼミ基礎編の初回は、中小企業診断士チーム「いろどりのやま」から太田宜志さんが講師として登壇し、聞き手に寄り添った、たいへんわかりやすい講義をしてくださいました。サステナブル経営を成功に導く秘訣は、SDGsという国際的な目標をいかに自分事にできるかなのだそうです。自分たちのやりたいことが、めぐりめぐって世界をよくしていると考え、自分から進んで取り組んでもらえるように、人と組織をマネジメントすることの重要性が共有されました。
組織が同じ方向を向くためのSDGs
オープンゼミ基礎編2回目の講座は、中小企業診断士チーム「いろどりのやま」の上村拓也さんが講師を務められました。上村さんはNLPマスタープラクティショナーでもあります。NLPとはアメリカで1900年代後半に提唱されたコミュニケーション、能力開発、心理療法へのアプローチを目指す技法です。今回の講座では、そのようなベースを持つ上村さんが軽妙な話術と楽しいクイズを交えて、企業文化を作るための基礎的な考え方と効果的な方法について、「自己」と「他者」という二つの切り口から説明してくださいました。
働きやすさと働きがいは、重要な経営戦略
オープンゼミ基礎編3回目の講座は、中小企業診断士チーム「いろどりのやま」の山本利映さんが講師を務められました。山本さんは妊娠中に、満員電車で通勤し続ける辛さを感じたのに加え、電車内で席を譲れないほどに疲れている人々を目の当たりにしたことをきっかけに、働き方に関心を持つようになったそうです。今回の講座では、ダイバーシティ経営について、またSDGsのゴールのひとつに謳われている「働きがいも経済成長も」は可能なのか?という観点から、多くの事例を出しつつ説明されました。
存在意義そのものがブランディングに
オープンゼミ基礎編4回目の講座は、中小企業診断士チーム「いろどりのやま」の免範親さんが講師を務められました。免さんは広告会社の営業担当役員として活動し、試行錯誤を繰り返しながら、ブランディングを考え続けてきた方です。今回の講座では、サステナブル経営の観点から考えるブランディングについて、わかりやすく話してくださいました。セミナーの後半は、パタゴニア日本支社の戦略策定に外部ファシリテーターとして10年携わっていた廣水乃生さんを迎え、さらに突っ込んだ議論へ。廣水さんはご自身の経験を踏まえ、目指す社会の実現のために歩んだ軌跡が、自ずとブランディングに繋がるというお話をしてくださいました。
SDGs をゲームで楽しく学び、
未来にキックオフ!ワークショップ
地域の課題解決に向けた実際のアクションを元に作られたカードゲームを用いて、「事業者、市民、行政による協働」を体感しながらSDGsを学ぶワークショップを開催。当日は、小学校2年生から企業の経営者まで、様々な人たちにご参加いただきました。世の中の課題はあらゆることに繋がっていて、一つの課題に一つの答えがあるのではない。だからこそ、いろんな人たちと力を合わせて、大きく複雑な社会課題に介入していくことの大切さを体感するようなセッションとなりました。
サステナブル経営 実践編
楽しくなければ仕事じゃない
〜非常識な経営手法が企業を人を変える〜
ゲスト講師は、京都府宇治市に本社を構えるHILLTOP株式会社の山本昌作副社長です。1961年に「山本鉄工所」として従業員3名からスタートしたアルミ加工のHILLTOPは、今では東京や海外にも支社を持つ、従業員150名の企業に成長。世界中に顧客がおり、宇宙開発機関や米国の娯楽産業からも受注しています。この日は、孫請けからスタートした会社が、大量生産システムから脱却し、人のクリエイティビティを大切にしながら進化し続ける様子と、その根本にある考え方について、テンポよく語ってくださいました。
競争から共創へ
〜紙づくりで循環型社会に貢献する
ゲスト講師は、大阪府泉南市の山陽製紙株式会社の3代目原田六次郎社長と原田千秋専務です。山陽製紙株式会社は1928年(昭和3年)に広島で紙の卸売会社として創業。高度経済成長期に大阪に移り、工業用クレープ紙を主とする製紙業を始めました。環境経営にいち早く取り組み、「環境人づくり企業大賞2018」の環境大臣賞を受賞するなど、着実な成果を出している企業として知られています。この日のオープンゼミでは、創業以来の歴史を振り返りながら、環境経営を目指すようになった背景、これまでの取り組み、今後の展望を語っていただきました。
社員革命による成長戦略
〜人材から人財へ〜
ゲスト講師は、奈良県奈良市の運送会社、株式会社ハンナの代表取締役社長、下村由加里さん。ハンナはグリーン経営、ISO39001 (道路交通安全)認証、健康経営優良法人2021ブライト500認定のトラック運送業。社員全員が『お客様の価値向上に貢献する』ことを念頭に、自ら考え行動しているといいます。今回のオープンゼミでは、このような人財を育成するハンナ独自の『社員革命』や、長年取り組まれている「健康経営」について、また、社員が個性を持ちつつも皆同じ方向を向いて歩んでいくための秘訣について、詳しくお話しいただきました。
2073年までに
赤ちゃんが食べられるタオルを創る
ゲスト講師は、愛媛県今治市のイケウチオーガニック株式会社の代表池内計司さん。イケウチオーガニック株式会社は1999年に「最大限の安全と最小限の環境負荷」をコンセプトに自社ブランドを立ち上げ、 ライセンス生産が主流のタオル業界に一石を投じ、現在では自社ブランドで運営されるオーガニックコットン専業のファブリックメーカーに成長。SDGsにおいては「12つくる責任つかう責任」に特化し、全商品のトレーサビリテイを原材料から商品まで公開するなど、先進的な実践も数多くされています。この日のオープンゼミでは、タオルの品質を食品の安全基準までとことん突き詰めてきた取り組みと、その根幹にある企業の思想を語っていただきました。
講師・メンター
フロンティアラボ
メンター
緒方壽人
デザインエンジニア
Takramディレクター
メンター
白井智子
NPO法人新公益連盟代表理事
メンター
水野大二郎
京都工芸繊維大学
KYOTO Design Lab 特任教授
メンター
永田宙郷
TIMELESS代表
プランニングディレクター
メンター
内田友紀
Re:public Inc.シニアディレクター
キックオフ講演講師
太刀川英輔
NOSIGNER/進化思考家
キックオフ講演コメンテーター
山崎亮
studio-L 代表
海外発表会コメンテーター
Jonathan Mincin
Ecological Interactions Fab Lab Barcelona
海外発表会コメンテーター
Aining Ouyang
COO of REnato lab
海外発表会コメンテーター
David Colliaux
SONY CSL Paris Researcher