日本テクノロジーソリューション株式会社
もっと自分らしく 生きられる未来
2023年03月時点

1期生インタビュー 日本テクノロジーソリューション

-ボトルのフィルムパッケージ技術の「シュリンク」をひとつの柱に、メディアなど多様な事業を展開してきた、日本テクノロジーソリューション株式会社(NTS)。昨年のプログラムには代表の岡田さんと宮崎さんが参加し、クリエイティブパートナーとともに「世界をワクワクに変える」というパーパスを設定しています。今年度はそのパーパスを軸に事業案を展開し、日本酒にフォーカスした参加型の「和魂プロジェクト「酒輪(しゅりん)」をローンチしました。企画からローンチまでのスピード感はさすがです。パーパスもさらに進化したと伺いました。

2023年1月に開催した東京発表会でプレゼンする岡田さん、宮崎さん

岡田:昨年の時点では、パーパスを「世界をワクワクに変える」と言っていたのですが、今年になって「やっぱりこれからは、地球をワクワクさせないかんな」と思いまして、「地球をワクワクに変える〜社会の課題を発見し、挑人たちとともに、世界をより良く変える」にしたんです。これからも自然や地球環境を中心軸にした経営をしていきたいです。これは社内のみんなも気に入っているフレーズです。

-挑戦したい気持ちはあるけれど一歩を踏み出すのが難しい人や、もやもやした気持ちを抱えている人の力になりたいといって、昨年度の発表会では「挑人ヴィレッジ」というアイディアを出されていましたよね。とっかかりは色々な可能性があったかと思いますが、日本酒から取り組んだのはなぜだったのでしょう?

岡田:地域の元気ある人からスタートしようと思ったんです。神戸の地域資産ってなんだろうと考えた時に日本酒が浮かびました。自分たちが日本酒のパッケージや日本酒関連のイベントに関わっているという事情もあり、日本酒関係者と話すことがもともと多かったのです。日本酒は、出荷量ピーク時の昭和48年と比較し1/3まで下がっていたり、御多分に漏れず後継者難だったり、規制産業なので新規参入がなかったりと色々な課題を教えて頂きました。そのような外部環境の中、非常にサスティナブルな経営活動を長年されている。でも話をよく聞いてみると、日本酒はイベントなどで利用されているという感覚を持っている人が多いことがわかりました。周りが盛り立てようとするほど卑屈になることもあるみたいなので、上手にもっていかないとダメだと感じたんですよね。だから、蔵元が本当に作りたかった渾身の一本を作れる土壌を準備したいと思いました。

-「和魂プロジェクト:酒輪」の特徴についてお聞かせください。

岡田:「酒輪」は酒の輪と書きます。簡単にいうと、風土・作り手・買い手をつなぐプロジェクトで、酒の輪を広げることを目指しています。日本酒というのは、結構、流通ルートができてしまっているのですが、そこを少し変えることによって、新たな挑戦ができるのではないかなと思ったんですよね。全国には1000以上1226もの酒造メーカーがあるといわれていますが、日本全国47都道府県さまざまな風土があり、いろいろな思いで作り手がやっているわけです。その個性をアピールしながら、一般の買い手に繋いでいけるプロジェクトになるといいなと思っています。

-NFTを活用すると聞いたのですが、どのようにそれが機能するのでしょうか?

岡田:NFTとは大々的にはいわずに、「先行予約システム」というわかりやすい話にしています。日本酒を造る前にデジタルラベル®を発行して、NFT上で権利を渡していくんです。それだと蔵元にリスクは生じません。蔵元が本当に作りたいお酒を造るプロジェクトなので、本当は一般の人をもっと巻き込めればいいのですが、まず今の段階では、こちらが「ソリューションコーディネーター」という役割で酒造メーカーさんにお邪魔し、一緒にやりませんか?と企画を持ちかけています。次のステップで、デジタルラベルをやってみませんか?と。そして3番目のステップで、お客様に専用サイトで購入していただく。権利を購入した方には日本酒ができるのを楽しみに待っていただいて、完成したらそのままお手元に届くという仕組みです。

-なるほど、NFTが予約権みたいになるのですね。

岡田:そうです。最初はデジタルラベル、日本酒ができあがったら現物を配布。飲み終わったら、デジタルラベルを持っている人を対象に、イベントに参加できる権利などを考えているんです。これは小規模生産者には良い話なのではないかと思っています。

-NFTやデジタルラベルを導入しようと思った一番の動機はなんだったのでしょうか?

岡田:流通経路を変える必要があると思ったんですよね。NFTの技術をつかって先行予約的にお客さんとダイレクトに繋がっていくこの仕組みの場合は、蔵元と消費者の直接取引になるので流通が減ります。これはわかりやすく、CO2の削減につながりますよね。あとは、間に入る人が減るので、自分がしたいようにできる人が増えるというのも大きいです。挑戦する人が増えるのが、地球のワクワクにつながりますからね。

-消費者にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?例えばワインなどは時間が経つほど価値が上がるものも多いのでメリットが見えやすいのですが、日本酒の場合はどうなのでしょうか?

岡田:まず、出来たものを買って家に置いておくのではなく、飲みたい時にいつでもリクエストができるというのが一つのメリットです。酒に適した環境で保管できるので、美味しさをキープすることができます。蔵元からダイレクトに届くこともいいですよね。

-この仕組みはどうやって実現に漕ぎ着けたのでしょうか?これまでのNTSさんのネットワークが生きているのでしょうか?

岡田:NFTやブロックチェーンの技術は、パートナーシップ契約で、私どもは日頃から芸能関係に強い会社と協業していて、吉本興業などと連携しているXクリエーションという会社と懇意にさせていただいてます。彼らがトークンの仕組みや技術に詳しかったので、そこに乗っからせてもらう形で始めることにしました。ただ、彼らも商品のNFT物の NFTは初めてということで、一緒に議論しながら進めています。また弊社は、パッケージ事業やメディア事業を有していてとか、ウェブサイトとか、YouTubeとか、商品のパッケージやホームページや映像制作などそのあたりを全部自社でできることが強みなので、それが事業のスピード感につながっているとはいえるかもしれませんね。

-縁も大事にしていると伺いました。

岡田:そうなんです。弊社のロゴマークは3つの輪で構成されているのですが、実は酒の神様の大神(みわ)神社というのは、三輪山というところにあるんです。三つの輪ですね!さらに、全国の酒林(さかばやし)はほとんどここが作っているのですが、酒林を音読みすると「シュリン」。うちはシュリンクやってるし、これいいやんとなって、プロジェクト名を「しゅりん」にしたんです。さらにもうひとつ、この神社では毎年一回酒まつりをやっているそうなのですが、それがきまって11月14日。なんと私の誕生日と同じ。こんなことあるのかと思いましてね。ご縁を感じましたね。

-ここまで揃うと必然ですね!今後はどのように進めていかれるのでしょうか?

岡田:「酒輪」に参加してくださる酒蔵をふやすとともに、独自のストーリーをみいだしていくことを大切にしたいと考えています。第一弾は、実はもう始まっています。神戸の震災の時に奇跡的に残ったお酒というのがありまして、2025年の1月に震災から30年ということなので、阪神淡路にもふれながら、リニューアル・販売することにしました。それをこの3月から先行予約できるようにしたのです。

-なるほど。この仕組みは、タイムラグがあるほうが面白くなりそうですね。作るのに予約待ち10年かかるような物なども。日本酒以外の分野にも応用する可能性はあるのでしょうか?

岡田:デジタルラベルは日本酒に限らず、他のさまざまな分野にも応用できると考えています。日本人形や刀、兜などのような伝統工芸品のPRを行った経緯もあり、このような分野での高付加価値付けの仕組みとしても機能するのではないかと考えています。

-お話を聞かせていただき、ありがとうございました。岡田さんのお話からは、日本酒をめぐる作り手と飲み手の新しい繋がりの形が浮かび上がってきただけでなく、商取引の形態を変えることが地域の持続性に繋がるかもしれないということがわかりました。今後の活動も楽しみにしています。

 

第1期生
日本テクノロジーソリューション株式会社

プロジェクトの概要

和魂プロジェクト「酒輪」は、NFT、ブロックチェーン技術を活用し、酒蔵が市況に左右されることなく、その土地ならではの、地域や人の和の心を込めた「渾身の一本」を生み出す酒造りを世界中の消費者とともに実現する、風土・造り手・飲み手をつなぐプロジェクト。

これまでの活動

  • 2021.08
    プロジェクト・エングローブ参加
  • 2022.01
    東京発表会
  • 2022.10.01
    和魂プロジェクト「酒輪」リリース
  • 2022.10.04
    Xクリエーション㈱とのパートナーシップ締結(※NFT/ブロックチェーンコンテンツ開発・サービス)
  • 2022.12.06
    オンキヨー㈱とのパートナーシップ提携
  • 2023.01.17
    大丸神戸松坂屋 大丸神戸店お得意様限定サイトにて発売予定
  • 2023.02.24
    「酒輪」商品紹介サイトオープン 
  • 2023.03.21
    第一弾「酒輪(富久錦・1995)」発売開始予定

MEMBERS

  • 岡田耕治
    岡田耕治|代表取締役
  • 宮﨑愛
    宮﨑愛|マーケティング & セールス統括部・リーダー
  • Xクリエーション株式会社
    Xクリエーション株式会社|NFT/ブロックチェーンコンテンツの開発
  • オンキヨー株式会社
    オンキヨー株式会社|酒作りの事業パートナー