1期生インタビュー 旭光電機
エングローブ第1期に参加してくださった旭光電機株式会社の代表取締役、和田貴志さんに、参加して感じた思いや、そこから生じた新たな動きについて伺いました。
旭光電機株式会社
産業用センサー及びコントローラーの開発、設計、製造メーカー。近赤外線自動ドア用センサーを世界に先駆けて開発して以来、食品・医療・ロボット等の様々な分野で独創のセンサー技術とコントロール技術を展開し、安全で快適な社会の実現に貢献している。IoTやAIの商品・サービスも幅広く展開中。ビルフロント自動ドア用センサー・コントローラーで国内トップシェア、東海道新幹線向け自動ドアセンサーのシェアは100%。その他、鉄道駅の可動式ホームドアにも当社技術が多数採用されている。また、宇宙用TDI(TimeDelayIntegration)を独自開発、JAXA人工衛星「つばめ」の撮像装置に採用され、高精細な映像を地上に送り続けている。
Q: 昨年度、エングローブに参加しようと思ったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
和田:モノづくり中小企業のトップとしてESGに積極的に取り組みたいと思い、参加に踏み切りました。また、同業者以外の人と関わり合いながら、どんなものが本当に求められているのかを議論して、本当に私たちの技術が貢献できるのか、適切なのかなど、多角的に検討したいと考えていました。
Q: クリエイティブ・パートナーとして参加してくださったのは、アートマネジメント実践者の方や、コミュニケーションの実践や研究をされている方でした。チームではどんな議論が行われていましたか?
和田:世代も専門も背景も異なるパートナーたちとの議論は、最初は勝手がわからず苦労したこともありました。でも、みなさん根気強く、センサーを社会の課題にどう活かしていけるかを一緒に考えてくださいました。そのような議論を経て、パーパスを「感じて伝える力を、社会の力に」と設定し、アイディアに落とし込んでいきました。あるクリエイティブ・パートナーはエングローブを機に神戸で活動を始めたいとのことで、継続的に関係を持っていきたいと思っています。また、他のパートナーとも、さまざまな課題をベースに、話し合いを続けていければと思っています。
Q: 今回出てきたアイディアはどのようなものでしょうか?
和田:日常行動を測定するセンサを活用して、生活の中で自然にCO2削減ができるサービスを考えました。これはアプリと連携しており、自分の行動が環境にとって良い結果に結びついていることが視覚的に把握できます。さらには、排出量削減効果のある行動データに基づいてポイントが貯まる仕組みも構築し、持続性も担保します。参考までに、このアイディアを発展させる形で国のプロジェクトに提案したものが採択され、今年度から開発を行います。まずは企業向けからシステム開発を進め、地域に貢献できるよう、着実に進めていきたいと思っています。
Q:このアイディアに対して、どのような反応がありましたか?
和田:これまでは主に企業に対してCO2削減のノルマが課され、個人はどのような地道な行動をしたらいいのか、具体的には掴みにくかったと思います。ですが、「自分の行動が可視化されて、CO2削減の努力がが引き起こす結果を何らかの形でリアリティをもって感じられるようになるのはインパクトが大きい」とエングローブ関係者からコメントいただきました。
Q: プログラムに参加することで得られた新しい視点はありましたか?
和田:エングローブでは、「フラット」「差別なく」というところの実現を目指して、最終的なアイディアにたどり着きました。これは私の今後の考え方にも大きく影響してきています。今、いろんな会社がバラバラに行っていることを全てセンサーを使うことで繋ぎたいと考えているんです。誰もやろうとしない仕組みづくりをしたい。うまく仲間づくりもできると、世界の主流になることもできるのではないかと考えています。
Q: 今回、Forbes JAPANの ”small giants” のページにも和田さんの記事が掲載されて、旭光電機の技術の応用の幅の広さにも注目が集まりましたね。
和田:はい、エングローブがきっかけとなって取材していただき、暮らしの身近なところに活用されているセンサーについて、みなさんに知っていただく入口ができました。
forbes JAPANリンク
https://forbesjapan.com/small_giants/article/detail/22041901.html
プロジェクトの概要
産業用センサ及びコントローラーの開発・設計・製造を手がけるリーディングカンパニー。環境省は2024年3月を目処に企業のGHG排出量について一次データ(実測値)による算定を発表。『脱炭素は「測る」時代へ』をスローガンとして掲げ、センサと無線通信を有するIoTデバイス群を利用するサービスの構築に取り組む。センサ技術で社会の境界を超え、企業だけでなく生活者の意識・行動を変え、地球にいいアクションがとりたくなる未来を目指す。
これまでの活動
-
- 2021.08.01
- プロジェクト・エングローブ参加
-
- 2022.01.01
- 東京発表会
-
- 2022.04.01
- GO-TECHに提案
-
- 2022.08.01
- GO-TECH採択(約1億円補助)、開発着手(センサ、エッジデバイス)
-
- 2023.03.01
- 脱炭素経営EXPO出展(東京)&プレスリリース